• 割当先に米VC系フルグル、給付は11月2日
  • ALCの保有BTCをライトニングの流動性に活用

約8億円をBTC現物出資で調達

日本ビットコイン産業は28日、第三者割当増資を実施すると発表した。割当先はフルグル合同会社とANAPライトニングキャピタル(ALC)の2社。調達総額は8億4万3,580円で、全額をビットコイン(BTC)の現物出資で受け入れる。給付予定日は11月2日で、出資は当事者間の契約に定める条件の充足を前提とする。

あわせて同社はALCと、ライトニングネットワークのルーティング事業に関する業務提携基本契約を結んだ。ALCが保有するBTCを日本ビットコイン産業が運用するチャネルに流動性として置き、国内発のルーティング基盤を共同で育てる。同社は「日本に、自由な決済を」を掲げ、カード決済に依存しない越境決済の仕組みづくりを進めている。

ライトニングネットワークは、ビットコインのブロックチェーンの外側で送金を処理し、即時かつ低コストの少額決済を可能にする技術。支払いの経路となるチャネルには資金(流動性)を確保しておく必要がある。ルーティングは、この経路を提供して利用者間の支払いを中継する役割を指す。

関連記事:ANAP、ビットコイン評価損43.7億円を計上 前期の評価益12億円から反転

ANAPホールディングスは15日、2026年8月期に保有ビットコインの評価損43億7,466万円を計上したと発表。最終損失は73億2,300万円に拡大した。前期の評価益からの反転と、期中に開示した評価損の推移をまとめる。

決済インフラ「aurora」の開発に充当

調達資金は、決済インフラの開発と人材採用、ルーティング事業、研究開発に充てる。中核に置くのは、事業者がAPI経由で既存の決済手段に追加できるライトニング決済「aurora」だ。2024年11月設立の同社は、BTCで商品を買えるECサービス「UseBitcoin」も運営する。自社サービスで2年間、ライトニング決済のインフラを運用してきたと説明している。

同社は、国際ブランドのカード決済が規約を理由に止まる事例を問題視している。同社によると、2024年には日本の法律上は問題のない作品を扱う国内の複数のコンテンツ販売サイトでカード決済の停止が相次いだ。

2025年7月には、海外の大手ゲーム配信プラットフォームでも、決済処理業者の規約を理由に100本を超える作品が配信停止になった。発行者や取引ごとの承認者を持たないビットコインを受け取り手段に加え、カードを持たない海外の顧客にも販路を広げる考えだ。

割当先2社の位置づけ

フルグルは、米ベンチャーキャピタルのフルグル・ベンチャーズ(Fulgur Ventures)の日本拠点。同社は2019年からビットコインとライトニングネットワークの領域に絞って投資しており、2024年10月にはブロックストリーム(Blockstream)の2億1,000万ドルの資金調達を主導した。

フルグルと日本ビットコイン産業は、東京・四谷のTokyo Bitcoin Baseと新潟県佐渡市での活動を軸に、技術者の育成と情報発信での協業を協議する。フルグル代表社員の川合林太郎氏は、次回以降の資金調達でもリードインベスターとして支援を続けると表明した。

ALCは東証スタンダード上場のANAPホールディングスの子会社で、同グループはビットコインを中核とした事業戦略を進めている。ALCの山本和弘社長は、日本ビットコイン産業が実証実験をゴールとせず、収益化まで見据えて事業を組み立ててきた点を挙げた。そのうえで同社を「事業化集団」と評した。日本ビットコイン産業は2社それぞれの割当額を公表していない。