• イラン中銀が容認、英FT報道
  • 輸出企業、外貨での輸入決済も可能に

イラン中銀が規制緩和

イラン中央銀行が、貿易企業による海外での輸出収益を仮想通貨経由で自国へ還流させる動きを容認していると、英紙フィナンシャル・タイムズが9日までに報じた。米国による対イラン制裁が強化される中、テザー発行のUSDTやビットコインを介した国境を越えた決済が、イラン国内の仮想通貨取引所を通じて行われているという。

従来は事業者が海外で得た外貨の大半を、公式為替レートを適用する政府運営のプラットフォームを通じて国内に戻す義務を負っていたため、資金を海外に留めるか、無申告のまま持ち帰る誘因が生じていた。今回の規制緩和により、事業者は市場レートで外貨を交換できるほか、公式システムを経由しない輸入代金への充当が可能になった。

イラン当局は、国内外で蓄積された未申告の外貨収益が1,000億ドル超に上ると推計している。イラン・デジタルトランスフォーメーション協会のメンバーであるアリレザー・ボゾルグメリ氏は同紙に対し、中央銀行が仮想通貨取引所への監視も緩めたと述べた。

制裁執行の動き

7月には米財務省がイラン中央銀行に関連する4つのウォレットを制裁対象に追加し、これを受けてテザー社は1億3,100万ドル相当のUSDTを凍結した。

今年2月末以降続く米イラン間の緊張の中、米国はさらに8月、対イラン制裁の対象を仮想通貨や金、海運、ハイテク分野にも拡大しており、国家主導のビットコインマイニングやステーブルコインを通じてドル決済を回避してきたイランの仮想通貨経済圏は推定78億ドル規模に達している。

GMOコインが9月9日、ザ・サンドボックス(SAND)、チリーズ(CHZ)、ファイルコイン(FIL)の取扱廃止を発表した。10月24日に取引・預入を終了し、11月中旬に未出庫分を強制売却する。

中東地域への影響

こうした制裁圧力が強まる中東情勢を巡っては、米シンクタンクのビットコイン政策研究所が9月4日公開の分析で、イランをめぐる紛争を契機に中東・北アフリカ地域でビットコインがリスク回避手段としての存在感を高めていると指摘した。過去の紛争では資本が地域外へ流出する傾向があったが、今回は資本の一部が仮想通貨へ向かったとしている。

米シンクタンクBPIの分析によると、イランをめぐる紛争を機に中東・北アフリカ地域でビットコインがリスク回避手段としての存在感を高めている。エジプトやトルコでは通貨安対策、UAEやサウジでは経済多角化戦略として、域内での活用が二極化している。