• ビットコインは上下の壁で膠着
  • 8万ドルが重要な分岐点に

上値抵抗と下値サポート

オンチェーン分析企業Glassnodeは14日、最新の週次レポートを公開した。ビットコイン(BTC)市場は上値の強い売り圧力と、下値の厚いサポートに挟まれ、「身動きの取れない」状態にあると分析した。

過去2年間に購入した投資家の取得価格が上値を抑えている。一方で、損失確定売りが減少し、価格が主要な取得価格を上回って推移していることが、下値を支えている。

レポートによると、6〜12カ月前に購入した保有者の平均取得価格(コストベース)は約8万8,000ドル、1〜2年前に購入した保有者では約10万ドルだ。今年はこの二つの価格帯で上値を抑えられた。1月には6〜12カ月保有者の取得価格付近で反落して、3分の1以上下げ、5月には1〜2年保有者の取得価格付近で反落し、約4分の1下落した。

Glassnodeは、ビットコインの日足終値が8万8,000ドルを明確に超えるまでは、上昇するたびに損益分岐点付近で売りが出やすいとみている。

下値を支える指標は堅調だ。価格は、アクティブ投資家の平均取得価格を示す「True Market Mean(真の市場平均:約7万8,000ドル)」や短期保有者の取得原価を上回って推移している。

ビットコイン価格は、米国現物ETFの平均取得価格(約8万1,500ドル)を10月8日と13日に一時割り込んだが、いずれも終値では回復した。9月21日以降の終値は、すべてこの水準を上回っている。

バイナンスの現物市場のオーダーブック(注文板)では、最大の買い注文が8万ドル付近に集まっている。米ETFの平均取得価格と大口買い注文が重なる8万〜8万1,500ドルは、オンチェーンデータと板の両面から支えられる重要な価格帯だ。ここを割り込めば、8万ドル直下の清算集中帯や、約7万8,000ドルの真の市場平均までの調整も視野に入る。

先物市場の清算ヒートマップでは、8万ドルをわずかに下回る水準と8万8,000ドル付近に、同規模の清算が集中している。8万ドルを割り込めば、ロングポジションの強制決済が下落を加速させる可能性がある。逆に8万8,000ドル付近まで上昇すれば、ショートポジションの買い戻しによる「ショートスクイーズ」が起きる可能性がある。ただしGlassnodeは、現物の買い需要が伴わなければ、上昇の持続は難しいとみている。

ビットコイン価格は、米国現物ETFの平均取得価格(約8万1,500ドル)を10月8日と13日に一時割り込んだが、いずれも終値では回復した。

過去の弱気市場とは異なる

Glassnodeは、今回の相場を「浅い弱気相場」と位置付け、過去の弱気相場と区別している。

長期保有者(LTH)の損切り売りはほぼ収束した。長期保有者の実現損失は8月12日のピーク以降、約85%減少している。

損失確定と利益確定のコイン数量の比率も変わった。6月の安値局面では、損失確定コインが利益確定コインの約12倍に達していたが、8月下旬に逆転した。現在は損失確定1枚に対し、利益確定が約4枚の割合となっている。

2018年や2022年の弱気相場では、ビットコイン価格が全流通コインの平均取得単価である実現価格を数カ月にわたって下回った。今回は日足終値で一度も下回っていない。6月30日の安値でも、価格は実現価格を約10%上回っていた。

レポートは「底が浅かったということは、平均的な保有者が一度も含み損に陥らなかったことを意味する。」と述べている。2018年や2022年と異なり実現価格を割り込まなかった弱気相場であり、価格が真の市場平均や短期保有者の取得価格を上回っていることから、回復期の初期段階にある可能性があるとした。

*本レポートは、クリプトアナリストである仮想NISHI(@Nishi8maru)氏が、CoinPostに寄稿した記事です。クリプト市場マーケットレポート(10/15 AM10時執筆)寄稿者:仮想NISHI仮想NISHIクリプトアナリスト。B

ETFの資金流出とマクロ環境

一方で、Glassnodeは、米現物ETFからの資金流出が再開し、マクロ環境も不透明なため、短期的には慎重な姿勢が必要だとしている。

9月下旬にビットコイン価格が8万5,000ドルを突破した際、米現物ビットコインETFには9月21日から10月6日にかけて、約30億ドルが純流入した。これは2025年11月以来、最速の買い入れペースだったが、勢いは続かず、10月7日以降は約7億6,000ドルの純流出に転じている。

マクロ面では、10月14日発表の9月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回った。総合CPIは前年同月比3.7%、食品とエネルギーを除くコアCPIは同2.6%だった。発表後にビットコイン価格は下落し、市場では10月28日の米連邦準備制度理事会(FRB)の会合で追加利上げがあるのではないかとの警戒も強まっている。11月3日には米国の中間選挙も控えている。

長期の見通しについては、明るい材料もあるとレポートは指摘する。損失確定の売りがほぼ収束したこと、含み益を抱える保有者の売却が損失を抱える保有者の売りを上回っていること、そして今回の弱気相場でビットコインの日足終値が一度も実現価格を下回っていないことを挙げている。

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