• 金融庁研究会、DEX・DeFiやトークン化の制度点検に着手
  • 野村HD、DeFi・ウォレット規制は「海外と同等」を要望
  • 官民フォーラム、2027年初に中間整理とロードマップへ

DEX・DeFiと資産トークン化を点検

金融庁は20日、「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」の令和8事務年度第1回会合を開いた。ステーブルコインと預金のトークン化、セキュリティトークン、DEX(分散型取引所)・DeFi(分散型金融)を主な論点に据える。イノベーションの促進と投資者保護の両面から、法制度上の課題を洗い出す。

研究会は、金融庁が7月21日に公表した「成長投資を促進するための金融戦略」に基づく。同庁は関係省庁とともに「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」を立ち上げ、あわせて2つの研究会を設けた。

本研究会はオンチェーン金融を発展させる環境整備を担い、もう1つはAI等の健全な利活用を扱う。フォーラムは2027年初に中間整理と官民のロードマップを取りまとめる予定だ。座長は神田秀樹東京大学名誉教授。日本暗号資産等取引業協会や日本銀行もオブザーバーとして加わった。

事務局資料は、約定から決済までをブロックチェーン上で完結させるトークン化市場が登場しつつあると説明する。資金決済手段と資産の双方がトークン化されれば、24時間365日の取引や決済期間の大幅な短縮につながりうるとした。トークン化資産の累計発行額は2026年7月時点で350億ドルを超えた。2033年までに世界市場が18.9兆ドル規模に達するとの試算もある。

DEX・DeFiは、金融戦略でウォレット提供業者とともに「リスク低減策の在り方」の点検対象とされた。暗号資産制度に関するワーキング・グループ(WG)は2025年12月の報告で、DEXの明確な規制手法は確立されていないと整理した。

そのうえで、国内居住者向けにDEXへ接続するアプリなどのUIを提供する事業者には、リスクの説明義務や本人確認を含むマネー・ローンダリング対策を課すことを念頭に、実態把握を深める必要があるとしていた。

事務局資料は、FATF(金融活動作業部会)が7月に公表したDeFi報告書も取り上げた。同報告書は、DeFiの支配者(controller)を特定する指標を示し、支配者の有無や特定の可否に応じてDeFiを3類型に分けて規制対応を変えるよう提言している。

金融庁は、9月30日に開いた「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」初会合の議事録を公表した。デジタル庁が給付金へのステーブルコイン活用を技術面から検討するほか、財務省は国債のオンチェーン対応を議論する研究会を10月8日に始動させた。

野村、ウォレット規制も海外並みを要望

ヒアリングでは、野村ホールディングス(野村HD)の佐々木俊典デジタルアセット戦略推進部長が説明に立った。同社は、米国ではステーブルコインやトークン化預金が実用化段階にある一方、日本は実証段階にとどまると説明し、「1ステップ遅れ」と分析した。国債や株式のオンチェーン化については、官民で早急に整備を進めるよう求めた。

同社は実務・法制度上の課題として10項目を挙げた。スマートコントラクトによるDeFiなどのサービスには、海外に先んじた規制ではなく、海外と同等の自由度が高い規制を求めた。ウォレットやDeFiへの規制は、グローバルでの発展の方向性が定まった段階で海外同様に設けるべきだとした。

利用者の秘密鍵を管理しないウォレット提供者には過度な規制を設けないよう要望した。海外発行ステーブルコインの国内利用で、100万円超の保有・移転が制約になっている点の見直しも盛り込んだ。

セキュリタイズ、パブリックチェーン前提を提言

セキュリタイズ・ジャパン(Securitize Japan)は、RWA(現実資産)トークンの時価総額が9月末時点で390億ドルに達し、過去3年の年平均成長率は195%に上ると紹介した。米国ではSECが9月17日、一定の要件を満たすトークン化された米国上場株式のオンチェーン取引について、取引所登録義務などを5年間の時限付きで免除する措置を採択したことにも触れた。

同社は日本への提言として、分散型のトークン化モデルを想定した法制度の整備を挙げ、証券保管振替機構の見直しも対象に含めた。機関投資家水準のDeFi利用を想定した制度づくりや、パブリックチェーンを前提とした設計も求めた。「国際的な互換性を欠く独自路線」は、時間とコストがかかるうえ海外との差をさらに広げかねないと指摘した。

事務局は委員に対し、トークン化やオンチェーン金融の進展を踏まえて優先的に検討すべき分野を尋ねた。証券決済の短縮化・高度化を検討するうえでの留意点についても意見を求めた。

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