- 凍結額は集計により26億から28億ドル台、BTCは2日時点で未移動
- 3日に初期報告を公表、44銘柄の証明は生成中
補填と準備金証明の進捗
仮想通貨取引所バイナンスは4日(UTC)、7回目の復旧報告を公表し、流出事件で影響を受けた額の約98%を補填したと明らかにした。同日0時(UTC)に取得した準備金証明(PoR)のスナップショットは、対象を前回の10銘柄から44銘柄に広げた。
同社によると、ホットウォレットから約63億ドル相当の資産が流出した。シンガポール発のコンプライアンス企業WIDTHのレポートによると、主な流出は10月29日20時5分(UTC)ごろに始まった。米連邦捜査局(FBI)などは10月31日、北朝鮮のハッキング活動「TraderTraitor」による犯行と共同で発表している。
補填率は10月31日の約90%から、11月1日に約95%、4日に約98%と推移した。同社は報告で「影響額の約98%を補填した」と説明。残る2%は流動性の低いトークンで、市場と相対取引(OTC)を通じて買い付けを続けるものの、時間がかかる見込みだという。損失は利用者ではなく同社が負担し、必要額の100%超を自社資金で確保済みとしている。
準備金証明では、10月31日0時(UTC)時点のビットコイン(BTC)やXRPなど10銘柄について、11月2日にゼロ知識証明が完了した。4日分の44銘柄は、証明の生成に50から60時間かかる見込み。同社の準備金証明サイトによると、流出前の10月1日分は55銘柄が対象だった。
出金は11月1日6時(UTC)から段階的に再開している。WIDTHのレポートによると、再開初日の出金は46億5,000万ドル、入金は10億1,000万ドルで、差し引き約36億4,000万ドルの純流出だった。
関連記事:バイナンスのハッキング被害、ビットコインへの影響は限定的=米Bitwise投資責任者
米ビットワイズのマット・ホーガン投資責任者は4日付のメモで、バイナンスのハッキングがビットコイン相場に影響しないとの見方を示した。過去最大級10件のハッキング後、ビットコインは上昇と下落が5件ずつだった。
流出資金の凍結と移動
凍結額は出典や集計時点によって異なる。バイナンスは10月30日時点で約30億ドルとしていたが、3日の初期報告では約28億5000万ドルとした。分析企業のエリプティックとチェイナリシスの集計も28億から28億5,000万ドル程度となっている。
WIDTHは、11月2日時点でオンチェーン上で確認できた凍結額を約26億5,000万ドル(流出額の約42%)と集計した。凍結できたのは、ほぼすべてが発行体による凍結が可能なステーブルコインなど。BTCやイーサリアム(ETH)のように、直接凍結できる発行体がいない資産は、原則として凍結の対象外だった。
WIDTHによると、11月2日時点で18,270.2BTCは19のアドレスに分散したまま動いていない。約2億3300万XRPは同日初めて移動し、7つの新規アカウントに分割された。その後の外部への送金は確認されていない。
初期報告と未解決の論点
バイナンスは3日、事件の初期報告を公表した。攻撃は数カ月前から段階的に進められ、偽の採用面接などを通じて従業員の端末が侵害されたと説明している。同社は10月30日の時点で、調査の完了後に詳細な技術的事後報告書を公表するとしていた。
3日の報告は初期段階の調査結果との位置づけだ。4日の復旧報告でも、補填が済んでいない残り2%の銘柄の内訳は示されていない。4日分の準備金証明が完成すれば、44銘柄の保有者は自身の残高が1対1以上で裏付けられているかを確認できるようになる。