- ブロックチェーン9組織が量子アライアンスを設立
- 量子耐性の定義と共通の移行基準を策定へ
量子耐性を定義
9つのブロックチェーン関連組織のCEO、CTOおよび創業者らが16日、標準化団体「Quantum Alliance(量子アライアンス)」の設立を発表した。ブロックチェーンにおける「量子耐性」の定義を明確化にし、耐量子暗号への移行する際にも互換性を保てる標準規格の策定を目指す。
ビットコインやイーサリアムなど現在の主要なブロックチェーンは、ほぼすべて楕円曲線暗号の署名で資産を守っている。取引で署名すると公開鍵が公開台帳上に残り続けるため、十分な性能の量子コンピュータが実現すれば、ショアのアルゴリズムで露出した公開鍵から秘密鍵が割り出され、資金を不正に移転させる恐れがある。
ステーブルコインの発行権限を持つ鍵やガバナンスコントラクト、ブリッジ、オラクルフィードも同じ署名方式で保護されている。管理鍵が1つでも破られれば、複数のプラットフォームに被害が及びかねない。
量子アライアンスの推計では、ビットコイン総供給量の約30.2%にあたる約604万BTCが、量子攻撃にさらされるリスクを抱えている。約2.9兆ドル規模の仮想通貨市場も、その大半が従来型の署名方式に頼っている。
同団体は、量子リスクへの対策と移行を進めるべき猶予期間として「2020年代後半」を示す複数の予測を挙げた。アライアンスの貢献者2名が共同で構築したモデル(2028年3月を早期の警戒時期とする)や、ビットコインの暗号技術を破るのに必要な量子ビット数を50万個未満と見積もったグーグル・クアンタムAIの研究などだ。
米国立標準技術研究所(NIST)は2024年8月、初の耐量子暗号(PQC)標準を正式に策定した。一方、ブロックチェーン業界には、「量子耐性」の定義や検証方法の統一基準がない。量子アライアンスは、この空白を埋めて業界共通の評価基準をつくるために設立された。
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米コインベースの量子諮問委員会が13日、仮想通貨ビットコインのポスト量子対応に向けた論点を公表。署名方式の選定や移行の進め方、休眠コインの扱いなどを議論の材料として示した。
設立メンバーと4つの作業部会
量子アライアンス創設メンバーは、クアンタス(Quantus)、アメリカン・フォートレス(American Fortress)、イントマックス(Intmax)、キーストーン(Keystone)、ミッドナイト財団(Midnight Foundation)、ポストクアント・ラボ(Postquant Labs)、アベリアン(Abelian)、ザ・ヴォルト(The Vault)、ハッケン(Hacken)の9組織。ベースレイヤーのプロトコル、プライバシーネットワーク、ロールアップ、ハードウェアウォレット、アドレス生成、セキュリティ監査、量子計算インフラまで、耐量子移行に関わる幅広い領域をカバーする。
アライアンスはまず、「量子耐性(quantum readiness)」の定義を策定して公開する。対象はトランザクション署名、鍵管理、コンセンサス(合意形成)、ゼロ知識証明(ZK)システム、P2P接続などだ。
あわせて各開発チームが実装状況を評価できる公開テスト基準やベンチマークも用意する。公開鍵がすでに露出した資産や休眠アカウントの扱い、耐量子署名によるデータ肥大化への対処を踏まえた、移行設計の参考資料も公開する方針だ。成果物はすべて公開され、各プロジェクトが直接採用できる。また、共通基準で対応状況を客観的に評価することも可能になる。
- ブロックチェーン移行:既存ネットワークを耐量子方式へ移行する方法を検討する。すでに露出した公開鍵や休眠資産の扱いも含む。
- 耐量子ゼロ知識証明:既存のZKシステムの量子コンピュータに対する脆弱性を評価し、克服を目指す。
- ウォレットのセキュリティ:耐量子鍵の生成、保管、署名、復旧の共通仕様を定める。
- クロスチェーン互換性:異なるブロックチェーン間でも一貫したセキュリティを保つための相互運用ルールを整備する。
クアンタスのクリストファー・スミス CEOは「将来、耐量子暗号は単に『暗号』と呼ばれるようになり、それ以外は博物館行きになるだろう。量子アライアンスは、耐量子ブロックチェーン製品の開発で生じる複雑な判断をあらかじめ整理し、移行を進める業界がすぐに使える標準規格を整えたい」と語った。
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