- 今回の制裁対象はA7ネットワーク
- 北朝鮮の仮想通貨取引所攻撃との関係にも言及
仮想通貨取引所とも関係
米財務省は1日、2026年8月に開始を発表したイランに対する新たな経済制裁プログラム「オペレーション・エコノミック・アウトキャスト」の一環として、A7ネットワークに対して異例の対応を行ったと発表した。
発表によると、A7ネットワークは、イラン政府やイスラム革命防衛隊(IRGC)が制裁を回避するために利用するシャドーバンキングネットワークで、ロシアとも関係を持つ。今回米国は、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)が規則案を提案したり、警告を発したりするなどの措置を講じた。
一般的には、証券会社などのノンバンクによって提供される金融仲介機能や銀行を介さない金融取引のこと。「影の銀行」とも呼ばれる。
オペレーション・エコノミック・アウトキャストは、イランやイランと関連する組織を対象にしており、世界に広がるイランの金融ネットワークを断ち切って孤立させることが目的。制裁対象には暗号資産(仮想通貨)も入ることから、8月の発表時には仮想通貨領域でも注目を集めた。
米財務省のベッセント長官は24日、対イラン二次制裁を拡大する新プログラムを発表した。仮想通貨や金、航空など複数分野を対象とし、関連するビットコインアドレスも新たに指定された。
今回の対応
今回はFinCENが、A7ネットワークの他国拠点のフロント企業群「Sub-Agents」を含む関連取引について、資産の送信を禁止する規則案を提案。Sub-Agentsとは、制裁対象者の取引を通常の商業取引に偽装するための企業群を指す。
今回の発表では、Sub-Agentsが2025年1月から2026年6月に合計で170億ドル(1ドル=157.83円換算で約2.7兆円)以上の取引を処理したことがFinCENの捜査で明らかになったと説明した。
また、FinCENは警告を発出し、A7ネットワークに関連する疑わしい取引を金融機関が発見・報告できるよう、注意すべき兆候(レッドフラッグ)の一覧を示した。
他にも、外国資産管理局(OFAC)が、A7ネットワークを重大な国際犯罪組織として制裁対象に指定したと説明。発表では、A7ネットワークは、すでに制裁対象になっているイラン最大規模のデジタル資産取引所ノビテックス(Nobitex)ともつながりがあったと述べた。
また、A7ネットワークは、北朝鮮の仮想通貨取引所への攻撃などに関連する取引に関与していたとも指摘した。
なお、A7ネットワークに関与する「A7 LLC」などの複数の主体はすでに制裁対応済み。今回は範囲を広げてA7ネットワーク自体を対象にしている。
財務省は、イランや他の敵対国が制裁を回避したり、違法な資産を移動したり、世界の金融システムの完全性を弱めたりするために利用する金融インフラを解体しようとしている。
今回のA7ネットワークに対する措置は、財務省の異例の取り組みを継続してイランと関連する金融組織を孤立させるためのものだ。また、米国の敵のために違法な金融活動に関わる場合は米国の金融システムにアクセスできなくなるという明確なメッセージを伝えている。
オペレーション・エコノミック・アウトキャストを巡ってはOFACが先月、イラン人金融家ババク・ザンジャニ(Babak Zanjani)氏系列の仮想通貨取引所BitBankを制裁対象に指定したと発表した。
米財務省OFACは9月17日、イラン人金融家ザンジャニ系の仮想通貨取引所BitBankを制裁指定した。同取引所は6月以降、数億ドル相当のビットコインをIRGCに送金したとされる。開発元と側近3人も同時に制裁対象となった。
財務省によると、BitBankは6月から7月にかけて数億ドル相当のビットコイン(BTC)をIRGCへ送金する経路として使われていた。